Hotel 81 / ホテル81

基礎データ:

TOTAL ROOMS
85

ADDRESS
20 Lorong 16 Geylang Singapore 398863

CALL
(65) 6841 8181

FAX
(65) 6841 9249


* Confirmation needed
* Rooms with standing shower
* Hair Dryer for certain floors only
* Mini-Bar only available in Deluxe & Family Room

URL:http://www.hotel81.com.sg/index.shtml

解説:

 

私は明日の朝一番でシンガポール発プノンペン行きの飛行機に乗らなければならない。これまた格安運賃で急成長のジェットスターだ。出発が朝の7:05という早朝便だ。遅くとも1時間前までにチェックインしろとキャリアは言っている。しかしシンガポールの公共交通機関は、朝の6時にならないと始動しない。唯一の移動手段は50%の深夜料金を取るタクシーだ。

 となると、残る方法は二つ。バスや地下鉄のある時間までどこかで体を休め、それから5時間空港の出発ロビーで時間を潰すか、素直に安ホテルに泊まってタクシーで空港に向かうかしかない。  

地下鉄ブギス駅の近くには、有名な安宿が何軒かある。実はここはクィーンズストリートの下車駅でもあるので、ジョホールバルに向かう前に数件空室を当たっていたのだ。 まず、"New 7th Storey Hotel"。ここにはドミもあったはずだが全室満室。 続いて "Bugis Backpakers"。満室。 最後に "Cozy Coner GH"。ノンエアコンのドミのベッドだけ空いていた。フロントのおばちゃんは「シャワーでも浴びて昼寝して、ネットで暇つぶしをしてから最終の地下鉄で空港に行けばいいじゃない」ととても親切に言ってくれたが、ここ数日のめったやたらな移動でちょっと体調が良くない。できればエアコンが欲しかった。それに私はこの後マレーシアのジョホールバルに向かう。残念ながらゆっくり昼寝はできない。一応最後の手段として留保しつつ、空港へ向かった。  

最善の選択肢は、前日のうちにジェットスターにチェックインして、空港の中で夜を明かすことだ。別にロビーでも良いし、それに多分トランジットホテルもベッド1つ6時間程度なら空きがあるだろうとも思っていたのだ。しかしジェットスターは出発便の2時間前にならないとチェックインさせてくれなかった。

野望は崩れた。エアコンのないドミで夜明かしをしてタクシーに乗るか…?  悩みつつ到着ロビーを徘徊していた時、政府観光局のブースが目に入った。 神のお告げかもしれない。中に入り事情を話し、空港から近い安ホテルの相場を聞く。なにせ早朝朝タクシーに乗れば50%増しだ。少しでも空港に近い方がありがたい。  

観光局のおばちゃんは「空港に近く一番安いホテル」として、ゲイラン地区の "Hotel 81" を紹介してくれた。税・サービス料込みでS$31。これは安い。無料のコーヒーやお茶はともかく、なぜか無料のカップ麺まである。ブギス駅よりかなり空港寄りにあるので、タクシー代も節約できそうだ。ちょっと迷ってから予約をお願いする。案内所のカウンターでS$10のデポジットを支払い、残りをホテルで支払う。予約だけして消えてしまうことのないようにするための措置だろう。  

地下鉄Aljunied駅で下車し、ホテルのあるゲイランロードを目指す。ところがなんだか周辺の様子が怪しい。シンガポールらしい清潔な健全さがあまりないのだ。街角には私の苦手な濃い目の化粧をしたおねーちゃんが "Hello" と声をかけてくる。  これは例の商売の方だ。金銭の授受を行い男性に必要以上の接触をする女性の方々だ。どうやらここはシンガポールの風俗街のようだ。私はこの街の存在を知らなかった。  金銭による過剰な接触サービス業はどこの国にも存在する。 私はこれを頭から否定する気はない。その仕事が強制によるものだったり、まだ価値判断もできない未成年者に行わせているのでもない限り、つまりは強制でなく経済状況や社会状況によらない、そして成人による自分の意志での選択であれば「まぁいいんじゃないの」とも思う。  もっとも私はそのサービスを利用しようとは思わない。別に自分だけ高みに立って利用者を見下すつもりはない。趣味の問題なのだ。もしかしたらただでできることに金を払う考えはないし、正直いろいろと怖い。根性なしのマイホームパパなのだから勘弁してくれ。  

この街が風俗街であることを証明するサインがあった。ホテルの看板だ。「1時間S$10」とある。シャワーを浴びて一息ついただけで過ぎてしまう時間だ。一息つく代わりにすることがあるのだろうが。  空港で紹介された "Hotel81" は、この狭いエリアに数件あった。 どうりで案内の女性が路地の入り口まで細かく説明するわけだ。それをろくに聞いていなかった私は3軒の "Hotel81" を周り、やっとの思いで指定のホテルに到着した。  室内は狭い。そこはシンガポール、当然のようにタオルもホットシャワーもテレビもある。必要最低限ではあるが十分快適だ。  約束通り置いてあるカップ麺が泣かせる。  少しお腹が空いたので街に出る。雑然とした雰囲気で、南国とは言え必要以上に薄い衣服をまとったおねーちゃんが山ほどいるが、それほど治安が悪いという感じでもない。女性の一人歩きは避けた方が良いとあるが、これはそういう商売の方と間違われるとかなり不愉快だからだと思う。  路地に入ると、統一基準の意味ありげな数字の看板を出している建物が数軒ある。娼館のようだ。これは日本に帰ってから調べて知ったのだが、どうもシンガポールには公娼制度があるようだ。  チューインガムを禁止し、タバコに北米や北欧並の税金をかけている癖に、こういうのは公認なのだなぁ… この種のサービスに馴染めないスモーカーの私は複雑な気分になる。まぁ禁止してもこの種の接触サービスは地下に潜るだけでなくなることはない。だったら、衛生管理の観点から公の制度にして感染症の蔓延を防ぐ、という考えなのだろうか。だとしたら、法的に禁止しておきながら実体は世界でもトップクラスの風俗大国である日本より健全なのかもしれない。ある意味奥深い発想だ。  

シンガポール/マレー名物のラクサを食べビールを飲む。ちなみにビールの税金もシンガポールではただ事ではなく高い。330ccが一缶500円前後だった記憶がある。少なくとも日本よりは高い。  ともあれ、今回このゲイラン地区のホテルを紹介されたことで、シンガポールの知らなかった側面を見ることが出来た。御清潔税金罰金国家だと思っていたシンガポールにもこういう場所がある。おねーちゃんの存在はともかく、街は結構賑わっていて食事もうまい。  もしかして私は良い経験をさせてもらったのかもしれない。 少なくともシンガポールの超優等生ぶりに辟易していた私の気持ちを、この街は少しだけ変えてくれた。

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